いじめられっ子がいじめ被害を黙っている理由
学校などでいじめが行われていれば、先生たちがすぐに気が付くはずだと思いがちですが、実際には先生たちが気付かないことも多いもの。
その理由は様々ですが、いじめられている側が我慢したり黙認して声を上げなかったりするだけではなく、そのいじめを見てしている生徒たちも「いじめられる側にも原因がある」という間違った認識を持ち、先生や周囲の大人たちに話さないことが多いからです。また、巧妙化していることもその理由の一つです。
いじめは、一見悪ふざけのように見える中で行われることがあります。だからこそ、周囲の大人たちはいじめに敏感に気付くよう努力しなければなりません。
また、いじめられている本人が声を上げない理由にはいくつかありますので、その理由をご紹介します。
いじめられっ子がいじめを打ち明けられない理由
1.親に迷惑をかけたくない
子どももある程度の年齢になると、親に心配をかけたくないと思うようになります。
もし、自分がいじめられていると親に打ち明ければ、親が心配したり悲しんだりするのではないかと思い、結局我慢をしてしまうことがあります。そして無理に明るく振る舞いながら、つらい思いを重ねてしまうのです。
子どものこのような思いを踏まえたうえで、温かく接することが大切です。
2.イジメが悪化するのを恐れている
親に相談するとその内容が学校に伝わり、いじめている側から「告げ口をした」ということでいっそういじめがひどくなるのではないかと思い、周りの大人に相談できないこともあります。
また、友人に相談すればその友人の迷惑がかかると思い、ひとりで抱え込んでしまうのです。
3.弱い自分を周囲に見せたくない・恥じている
いじめられている自分を弱い自分だと思い、その弱さを見せることが恥ずかしいと感じて周りに話さないこともあります。
特に男子に多いパターンですが、強い自分でいたいという思いとともに「いじめられる側にも原因がある」という言葉を真に受けて、自分一人で解決しようと思うケースです。
4.必死にごまかそうとする
遊びの延長として理解できないレベルのいじめであるのに、一見すると遊びの延長のように見えてしまうこともあります。それは、いじめられている側が必死にごまかしているからです。
いじめる側に対して無視したり抵抗したりしても、そのいじめがエスカレートした場合、いじめられる側は少しでも被害を少なくするために笑ってごまかそうとすることがあります。もちろん、楽しくて笑っているわけではなく、それは必死の抵抗の現れです。
周囲の生徒たちから「楽しそうに笑っていたから遊びだと思っていた」という声を聞くことがありますが、本当に遊びの延長のように見えることもあります。これも、自分がいじめられていることを周りに知られたくないという心理が働いています。
5.いじめられている事実を認めたくない
人に相談するときには、自分の置かれている状況を正しく理解しなければなりません。
だから、いじめを受けていると自分自身で認めたくない場合や受け止められない場合にはなかなか人に相談できず、一人で抱え込むことが多いようです。
6.大人はいじめを解決できないと思っている
親や先生に相談しても何も解決しないと諦めていることもあります。親さえも信頼できないというのは悲しいことですので、幼少期からの子供とのかかわりを大切にすることが必要です。
また、親や先生に相談しても、いじめられている自分の方にも原因があると言ってくるのではないかという不信感が周囲の大人たちに相談しない理由になっていることもあります。
いじめにおいては、いじめられる側ではなくいじめる側に問題があるという大原則にもとづいて、一つ一つ丁寧に話を聞きながら解決に向けて一歩ずつ進めていくことが大切です。